演出のこと、作品解釈について…📕

こんばんは🌛

演出リーダーのひなたです!

現在は17日の台詞テストに向けて、各場面ごとにzoomで読み合わせを含めたミーティングをしています。

今年の演目は『ハムレット』ということで、ひとりひとりの台詞量がかなり多くなることもあり、

みんな必死に台詞を覚えたり、発音練習に取り組んでいる最中です。

演出についても現在議論を重ねていますが、今回私の方から先生と4年のみんなに送ったメールを

こちらに添付して共有させてもらいます📧


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 米谷先生、4年のみんなへ


 今回2幕1場に関する先生からのメールを見て思うところがあったので、ちょっと長くなるけど聞いて下さい。

 私はもともとシェイクスピアが大好きで、『ハムレット』という作品にもとても思い入れがあるのだけど、

演出リーダーを任せてもらったのに、作品理解は誰よりもしているつもりなのに、

上手く言葉で伝えられていないのをもどかしく感じていました。

この仕事の範囲、リーダーとしての立ち位置も正直よく分からずにいて、

演出ミーティングの時にも、上手く言葉で伝えることが出来ず、悩んでいました。

なので、ミーティングの時にうまく言えなかったことをもう一度みんなに伝えてみようと思います。


 今回2幕1場に関する米谷先生のメールで『ハムレット』の根幹の話が出て、

「言葉の劇」「言葉と身体だけで表す」そう伝えれば良かったんだ!と気がつきました。

あとは、舞台上で着替えるという演出について私なりの見方を伝えたいと思います。

(先生とは違うかもしれないけど、先生がインスピレーションを得た木ノ下歌舞伎の『桜姫東文章』の演出が素晴らしかったのを私も観ているので)


 まず、私が思うシェイクスピア劇の魅力は、各作品で多く取り入れられる劇中劇などの二重構造、多重構造だと思っています。それが特に顕著なのが『ハムレット』と『夏の夜の夢』だと。

 旅役者の劇中劇は勿論だけど、

 大前提として、『ハムレット』には、


 ①狂気を演じている役者である彼

 ②本来の彼


 が存在していて、後ろでハムレットの狂気の演技をを覗き見している人達、それをさらに覗き見している本物の?観客がいます。

 舞台上にいる観客(覗き見してる人達)を見ている私たち観客という二重構造なんです。

 なので、視点がとても多角的になります。『ハムレット』という作品は、主人公ハムレットが狂気を演じる役者ということで、ほぼずっとこの形になっていて、実際に見ている人が本来の一重?の観客となるのは、「独白」のシーンくらい。

 ほとんどの物語は、基本的に主人公がいて、その主人公を中心に動いて行くのに対して、シェイクスピア作品は、ハムレットに負けず劣らず登場人物一人一人がそれぞれ色々考えて行動し、それぞれの人生を生きているのを、多角的に神の目のように観ていられるのが最大の魅力だと思っています。


 シェイクスピアの『お気に召すまま』の中で登場する名言で「世界は舞台、人は皆役者」という言葉があります。

私はこれが大好きで。シェイクスピア劇は、その二重構造で、観客すらも「皆役者」として取り込んで、実生活に落とし込むヒントを与えてくれるんです。


初めてみたシェイクスピア作品『夏の夜の夢』で成河さんが演じた妖精パックが最後の口上でこの名言とともに、観客であり出演者である自分を夢の世界から現実世界へ引き戻してくれました。


 話を戻しますが、先生の仰る客前で着替えるというのは、

 舞台上にいるのが全て役者達であり、演じる前の姿を見る事で、観客はさらにそれを外側から見ているのだという覗き見的な多角的な視点を持っていると意識してもらうためだと思います。

 コレって舞台ならではの表現で、見ていて面白いし、舞台をみている自分、自分は現実世界にいて、舞台上の世界を覗き見していることを意識させられる事、そして最後に自分達もこの世界を生きる役者であると認識させられることを通じて、不思議と作品を俯瞰して見る、神の目を持てる?んです。


『ハムレット』の根幹にある言葉、

この作品から受け取れるのは、

見ている人たちが「私は誰だ?」

「To be ,or not to be…」「気高く生きるって何?」というquestionを自分なりに考えて、   最終的に「Let be…」という希望や悟りを見つけることだと思うんです。だから、先生が新しくしてくださったラストの歌の歌詞が「Let be…」で終わるのが私的に最高にエモくて、春先にみんなと言ってた「最後は希望で終わる」にピッタリだと感じて嬉しくなりました。

 そして、ハムレットを「何人もの女子大生がかわるがわる演じている」、「それぞれがそれぞれのハムレットを演じている」というのを着替えで見せて、視覚的に意識してもらう事で、いままでにないフリンジだけの「あたらしい『ハムレット』」を見てもらえる。神の目を楽しんでもらえるのでは?

 という事なのかと感じました。

 全然違ったら申し訳ないのですが…笑

 

 正直この先生の目指す「新しいハムレット」というものに対して、私はこれまでスター俳優さんによる『ハムレット』をたくさん見ているがために、「新しい」発想が出来ないのではないか。私の意見より、他の人の意見の方が新しくて良いのではないか?などと迷ってしまう部分があって、作品解釈そのものに悩んでしまっていました。


 4年のみんなもいつもすごく優しくて、脳内で沢山グルグルしていることがあるのに、それを上手く言葉にできずにいる私を理解して、気遣ってくれていることにとても感謝しています。


 12月には、みんなと最高の『ハムレット』を演じて、先輩方や観客の皆さんの心を動かせたら、終演後みんなと涙を流して最高の1日を過ごす!という、

その目標実現のために精一杯頑張るので、足りないところが多くて申し訳ないのですが、今後とも宜しくお願いします🥺


ひなた

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このメールに対しても、先生や4年の仲間からたくさん温かい回答をもらいました。こんな感じで日々話し合いながら、よりよい作品を作るために試行錯誤しています。

今後も近況報告をさせていただきますので、12月2日の本番を楽しみにしていてください⭐


おまけ:この写真は、私が英国・ストラットフォードにあるシェイクスピアの生家を訪れたときに撮った写真です。To quack or not to quack...🐤

英語演劇 all-female 『ハムレット』

SEISEN UNIVERSITY Department of English Language and Literature all-female Hamlet Official Blog